
建設業の経営事項審査申請とは、公共工事の入札参加を希望する建設業許可業者の方を対象にした、業者の規模および経営状況等を客観的に点数で評価する審査です。
したがって、国や県、市町村などが発注する公共工事を元請で受注することを希望する場合は、経営事項審査申請を受けなければなりません。
国や県、市町村といった公共工事の発注者が、入札参加資格の格付けをする際に客観的評価として、経営事項審査の結果通知書を用います。つまり、経営事項審査の結果通知書は、業者の通信簿とも言うべきものになっています。
評価基準は以下の4つです。
完成した工事の受注金額の2年平均または3年平均を点数化したものです。
自己資本額(=純資産額)と、利益額(利払前税引前償却前利益(営業利益+原価償却実施額))を点数化したものです。
業種ごとの技術者の数および技術力に対する評価と元請完成工事高に対する評価を点数化したものです。
会社の社会性や、その他の事項に関する評価を点数化したものです。「労働福祉の状況」、「建設業の営業年数」、「防災協定の有無」、「法令遵守の状況」、「建設業の経理に関する状況」、「研究開発の状況」「ISO取得の状況」「建設機械の保有状況」の8項目から評価されます。
経営事項審査申請の審査権限者は、都道府県知事または国土交通大臣です。建設業許可が都道府県知事の場合は都道府県知事が審査し、国土交通大臣の場合は、国土交通大臣が審査します。ただし、経営事項審査申請は都道府県の各建設業担当の事務所で申請を行います。
経営事項審査申請の評点を上げるためには、どのようにすればいいのでしょうか。
完成工事高は、経営事項審査申請における評価のウエイトが高く、力を注がなければならないものの1つです。ただし、採算を度外視した完成工事高の積み増しによって利益が赤字になるなど収益性が著しく低下する場合には、逆に総合評点が大きく落ちることに留意してください。したがって、完成工事高のアップもさる ことながら、採算を重視した受注を目指すことが必要となるわけです。
自己資本を充実させることは、実際の企業経営の安定に重要であり、長期的に自己資本額の増加に努めれば、経営状況の健全性等が改善されて総合評点がアップします。
技術力は、総合評点を計算するときのウエイトが前述の完成工事高の次に高く、総合評点の影響力が大きい項目であることがいえます。
特に、完成工事高の低い中小規模クラスの企業の場合には、評点を上げやすい項目ですから、どの業種の得意分野として伸ばしたいか、経営戦略を明確にして職員に資格の奨励をするとよいでしょう。
労働福祉の状況は、下記の5項目を対象に、各種の証明資料をもとに審査が行われます。
点数の評価方法は、「法律上の義務」にかかわる項目(①、②)についてはその義務を怠った場合に「減点評価」され、その他の項目(③~⑤)については制度に加入したり、個別に導入している場合に「加点評価」されます。
具体的には、減点項目では1つで30点を減点、加点項目では1つで15点を加点した上で合計点数を算出します。
〔減点評価される項目〕
①雇用保険の未加入
②健康保険及び厚生年金保険の未加入
〔加点評価される項目〕
③建設業退職金共済制度への加入
④退職一時金制度又は企業年金制度の導入
⑤法定外労働災害補償制度への加入
もし、減点評価される項目に1つでも該当するものがあれば、マイナスの評価となります。ただし、労働福祉制度に加入するにはその分コストもかかるのでこの点を考慮して制度を導入することが必要です。
なお、くわしいことにつきましては、当事務所にご相談ください。的確なアドバイスをご提供いたします。